端午の節句に欠かせないお菓子といえば 柏餅ですが、お餅を包んだ柏の葉っぱを食べるか迷ったことはありませんか?
葉っぱを食べない人でも、周りに食べている人がいて「本当は食べるものなの?」なんて疑問を持った方もいるかもしれませんね。
一口に柏餅といっても、葉っぱの色や作り方の違い、地域差などもあり結構奥が深いんです。
今回は、 柏餅の葉っぱは食べるかということや、 色・作り方の違いから代用品など、柏餅の葉っぱに関する様々な疑問を解明していきたいと思います。
目次
柏餅の葉っぱの疑問1:柏餅の葉っぱは食べる?食べない?
柏餅の葉っぱを食べるか食べないかとの疑問ですが、 食べない人が多いけれど食べてはいけない訳ではないということになります。
ただし、柏餅の葉っぱを食べる人の中には、桜餅の葉が食べられるから柏餅も食べるものと勘違いしている人も少なくなくないようです。
食べるのがマナーに反するわけではありませんが、柏の葉っぱは厚みがあり口に残るため、桜餅の葉っぱと違って美味しくありません。
害はないので、美味しいと感じる方なら食べても問題ありませんが、食べない人が多数派ですね。
柏餅の葉っぱの疑問2:作り方・色の違いで食べる種類もある?
一口に 柏餅の葉っぱといっても、加工方法など作り方によっていくつかの種類があります。
お餅と一緒に葉っぱも食べられる種類があるかもご紹介しておきましょう。
柏餅の葉っぱの種類1:生の柏の葉
加工されていない 生の柏の葉っぱでお餅を包むのは、昔ながらのオーソドックスな柏餅の作り方で葉の色は緑です。
加工の手間がなく多く出回っていそうに思われがちですが、実は柏の生葉が柏餅に使われる割合は多くありません。
柏餅が出回る5月5日前後は、柏の葉が十分成長しておらず、餅が包めるサイズの葉は数に限りがあるためです。
柏の生葉は若葉とはいえ、かなり肉厚で葉脈も太いため残念ながらお餅と一緒にたべるには適していません。
柏餅の葉っぱの種類2:乾燥させた葉
旧暦から新暦に変わり、柏の生葉の調達が難しくなったことから生まれたのが乾燥させた柏の葉っぱです。
乾燥させているため、使う前に水で戻しアク抜きする必要がありますが、香りは天然の柏の葉に最も近いのが長所になります。
乾燥させているので葉がもろく壊れやすいこともあり、余り市場には出回っていない貴重な種類の葉ですがやはり 食べるには適していません。
柏餅の葉っぱの種類3:塩漬けの葉
柏餅の葉っぱでは、前年に収穫されて 塩漬けされた葉が最も大きなシェアを占めており、加工方法の違いで以下の2種類があります。
■茶色の葉っぱ
塩漬けの茶色い柏の葉っぱは、加熱処理により葉っぱの色が変色していますが、真空パック入りで長期保存が可能。
生葉や乾燥葉よりも柏特有の香りがうすいのが短所ですが、一年中出回っていて入手に困ることがありません。
乾燥葉のように、アク抜きの手間もいらず、使用前にさっと水洗いするだけなのもメリットです。
桜餅の葉と同様、塩漬けされた葉ですが、 食べると口に残り、食用には適していません。
■緑色の葉っぱ
塩漬けの緑色の葉っぱは、 近頃一番よく出回っている種類で、保存が効き、そのまま水洗いして使えるので手間いらず。
加熱で失われた緑色の色素を復活させるため、クエン酸入りの水が入った銅製の窯で、葉っぱを茹でなおす特別な作り方をされています。
柏の葉の香りがうすいものの、扱いやすく手軽に入手できるうえ、見た目も◎で人気ですが、やはり 食用には適しません。
柏餅の葉っぱの疑問3:関西より西で代用される葉は食べる?
ご存知の方も多いでしょうが、 主に関西より西の地方では、 サルトリイバラの葉が広く柏の葉っぱの代用として柏餅に使われています。
柏の葉は食べないのが一般的ですが、サルトリイバラの葉だと食べる人もいるのでしょうか。
サルトリイバラは、楕円形のつるっとした葉っぱで、ざらっとした質感の柏の葉よりは食べやすそうですよね。
しかし、実際は西日本のサルトリイバラの葉に包んだ柏餅も、 葉を外して中のお餅だけを食べるのが一般的。
サルトリイバラも葉っぱが厚めで、食べても害はないものの、桜餅の葉のように美味しくありません。
柏餅の葉っぱの疑問4:他の代用品で食べる葉はある?
柏餅の葉の代用は、関西より西のサルトリイバラが有名ですが、 地域差が大きく以下の代用の葉を使った郷土菓子が日本全国にあります。
■朴(ほお)の木の葉を使った「ほお葉巻」【長野県・岐阜県】
朴の木の若葉で餡餅を包んだ代表的な郷土菓子。
■ミョウガの葉を使った「みょうがぼち」【岐阜県】
そら豆の餡を入れた餅をミョウガの葉で包んだ菓子。
■山帰来(さんきら)の葉を使った「むぎ団子」【徳島県】
麦粉で作られた団子をサルトリイバラに似た山帰来の葉で包んだ菓子。
■ニッケイの葉を使った「けせん団子」【鹿児島県】
シナモンと同属のニッケイの葉2枚でお餅の上下を挟んだ菓子。
地域ごとに色々な葉が使われている柏餅に相当する端午の節句のお菓子ですが、残念ながらどの葉っぱも食べないのが一般的です。
唯一、 「みょうがぼち」のミョウガの葉は、他の葉っぱよりも柔らかめで食べて食べられないことはないとのこと。
ですが、やはり葉をとって中のお餅だけを食べるのが、地元では一般的な食べ方のようですね。
柏餅の葉っぱの疑問5:食べるわけではないのに葉で包む意味って?
食べないにもかかわらず、お餅をあえて葉っぱで包むのには複数の意味があります。
柏の葉っぱで餅を包む理由1:縁起がよい
柏の葉は新芽が育つまで古いはが落ちないため 「子孫繁栄」を表しているとされて縁起が良いといわれています。
男の子の成長を願う端午の節句のお菓子なので、縁起を担いでお餅を柏の葉につつんだのが柏餅の由来です。
ただし、柏の葉は縁起が良いというのは、江戸で調達しやすい柏の葉で包んだ柏餅の販促のために 後付けされたという説も。
柏餅の期限は18世紀後半の江戸時代ですが、葉に包んだ端午の節句のお餅は他地方に以前から存在していたといわれています。
柏の葉っぱで餅を包む理由2:餅が硬くなるのを防ぐ
縁起が良いという理由以外にも、柏の葉で餅を包むのは、 餅が硬くなるのを防ぐ効果があるためといわれています。
硬くなってしまった餡餅をレンジでチンして簡単に復活させられるようになったのはごく最近。
柏餅は食べる前にお供えとして飾られるため、葉っぱで包むことで長時間放置しても乾燥しないよう工夫したわけですね。
柏の葉っぱで餅を包む理由3:殺菌作用がある
旧暦の5月5日といえば、現在の5月下旬から6月上旬頃にあたり、気温もかなり高くなるため生菓子は保存が効かなくなります。
冷蔵庫などない時代に、縁起物の柏餅を安全に保存するため、 殺菌効果のある柏の葉を使ったのも葉っぱで餅を包んだ理由のひとつ。
柏の代用として使われるサルトリイバラなど、他の種類の葉にも殺菌効果があることが分かっています。
柏の葉っぱで餅を包む理由4:香りが良く食べやすい
柏や柏の代用となる葉っぱは、 独特の芳香があり、包むとよい香りが餅にも移って風味が増すのもメリットです。
他にもお餅は粘り気が強く、そのままだとくっつきやすいため、葉に包むと食べやすいのも葉っぱで包む理由といわれています。
柏餅を食べるときくっつく葉っぱをきれいに取る裏技は?
柏餅を食べようとして、葉っぱがお餅にくっついてとれず四苦八苦したなんて経験がある方も少なくないですよね。
そんな時に試していただきたいおすすめの裏技もお紹介しておきましょう。
くっついた柏餅の葉っぱをとる裏ワザ1:指を水で濡らしてはがす
葉っぱが柏餅にくっつくのは 乾燥が主な原因です。
お餅に葉っぱがくっついてなかなか取れない場合は、水で濡らした指を柏餅と葉っぱの間に入れてはがしていきましょう。
はがすときのコツは、指をお餅と葉っぱの間に少しずつ焦らず滑り込ませるようにすることです。
指についた水分が潤滑剤になり、葉っぱをきれいにはがせる手軽な方法ですよ。
くっついた柏餅の葉っぱをとる裏ワザ2:水にくぐらせレンジで温める
指を濡らしてはがす方法が上手くいかない場合、柏餅はかなり乾燥している状態の可能性大なので工夫が必要です。
少し手間がかかりますが、葉っぱごと水にくぐらせた柏餅をお皿におきラップで密閉して電子レンジで温める方法もあります。
出来たての柏餅の葉っぱがはがしやすいのは、葉とお餅の間に水分がたっぷり存在するため。
水にくぐらせてレンジでチンすることで、 再び蒸しあがったばかりの状態を再現しようというわけですね。
ただし温めすぎは厳禁で、お餅がどろどろになって余計に葉っぱが取れなくなるので注意しましょう。
柏餅の葉っぱがくっつくのを防ぐ作り方のコツは?
柏餅の葉っぱがくっつくのを防ぐ作り方1:完成したお餅を葉っぱで包む場合
お餅がまた温かいうちに、柏の葉で包むと冷めたとき葉っぱがくっつきやすいので、 十分お餅を冷ましてから包むようにしましょう。
葉っぱでお餅を包むときに、葉を水で濡らしてから包むのも効果的な作り方です。
その他、片栗粉をお餅にまぶす、葉にうすく油を塗るなどの方法もありますが、多少風味が変わる可能性もあるためお好みでお試しください。
柏餅の葉っぱがくっつくのを防ぐ作り方2:葉っぱに包んで蒸す場合
柏餅の作り方では、葉っぱの風味をお餅につけるため、葉に包んでから蒸すという方法もありますね。
葉に包んでから蒸す場合は、蒸しあがったところで、 一度、葉っぱをお餅から外し葉に水をつけて巻き直すのがおすすめです。
蒸しあがった直後の葉っぱがはがれやすい状態のときにひと手間かけておくと、食べるときにすんなり葉がはがれ苦労しなくて済みますよ。
葉っぱにまつわる疑問を解決して美味しく柏餅を食べる!
という事で、柏餅の葉っぱは食べるかから始まり、葉の種類から代用品、そしてお餅を葉っぱで包む意味など、色々な情報を集めご紹介しました。
葉っぱは食べても害はありませんが、折角、縁起物の柏餅なので、ぜひ美味しい食べ方で季節の風物詩を楽しんでくださいね。
以上、「柏餅の葉っぱは食べる?作り方や色の違い、関西で代用する種類は?」の記事を紹介しました。