暑い夏に美味しい そうめん。
食欲がない時もするする食べられちゃいますよね。
さっと作れて便利なそうめんですが、時々色付きのものを見かけます。
色付きのそうめんには、どのような意味があるのでしょうか?
また、そうめんの高級ブランド「揖保乃糸」には、等級によって帯の色が違うことをご存知ですか?
今回は、色付きのそうめんや、ランク別に帯の色が分けられているそうめんについて紹介したいと思います。
食べる時の参考にしてみてくださいね。
目次
なぜ色付きのそうめんがあるの?意味はある?
スーパーに行けば当たり前のように置いてあるそうめん。
売り場では、白一色の商品と、束の中に数本色付きのそうめんが入っている商品を見かけます。
色付きのものは1把あたり2、3本くらいでしょうか。
可愛らしいピンクや緑色は、白いそうめんの中で彩りを与えて、良いアクセントになりますよね。
この色付きの麺ですが、元々は ひやむぎに入っていたものだったんですよ。
そうめんとひやむぎは、見た目や食べ方がとてもよく似ています。
元々は製法が異なるそうめんとひやむぎですが、明治以降の製麺機の普及により、同じ製麺機でどちらも作られるようになりました。
そこで製麺所の人がそれらをすぐに区別できるように、ひやむぎの中に数本色付きの麺を入れるようになったんです。
色付きの麺は、このような実用的な理由から使われていたんですね。
しかし、時代とともに機械の性能が進化し、容易に商品管理ができるようになると、色付きの麺で区別をする必要がなくなってきました。
そして1990年代には、色付きの麺による区別方法は廃れていったのです。
では、現代も色付きのそうめんを見かけるのはなぜでしょうか?
これは、実用的な区別目的ではなく、 「彩りがきれいだから」、「子どもが喜ぶから」という理由で、メーカーが飾りとして敢えて入れるようになったものなんですよ。
同じ理由で色付きのひやむぎもあり、今では色付きかどうかでそうめんとひやむぎを区別することはできません。
そうめんとひやむぎの違いは?
そうめんとひやむぎはとてもよく似ていて、ぱっと見ただけでは分からないですよね。
私もしょっちゅう混同しますが、どのような違いがあるのでしょうか?
太さ
そうめんとひやむぎの決定的な違いは 「太さ」。
どちらにも「機械製麺」と「手延べ麺」があり、それぞれ定義があるそうです。
JAS規格(日本農林規格)によると、機械製麺は、
・そうめん・・直径1.3mm未満
・ひやむぎ・・直径1.3mm以上、1.7mm未満
と決められています。
ちなみに1.7mm以上の麺は「うどん」、4.5mm以上(厚さ2mm未満)になると「きしめん」と分類されるそうですよ。
手延べ麺は、
・そうめん、ひやむぎともに直径1.7mm未満
(商品に「手延べ」と記載する必要がある)
手延べ麺の場合、どちらも同じ規格です。
手延べ麺とは、原料となる小麦粉に塩を混ぜ、手で細長く延ばして作った麺のこと。
直径1.7mm未満であれば、どちらの名前を名乗っても良いということですね。
製法
元々、そうめんは手延べによる製法で作られていました。
そうめんのルーツは奈良時代に中国から伝わった、 「索餅(さくべい)」という小麦粉を使って縄のようにねじった食べ物だといわれています。
その後、鎌倉時代以降に麺を手で延ばす方法が中国から伝わり、「索麺(さくめん)」となり、転じて「素麺(そうめん)」となったのです。
一方、ひやむぎのルーツは室町時代に作られるようになった 「切麦(きりむぎ)」といわれています。
こちらは元々は原料の小麦粉と水、塩を混ぜてこねたものを、麺棒で平たく延ばしてから生地を細く切るという製法でした。
この製法はうどんと同じであり、ひやむぎは、「うどんを細く切ったもの」なんですよ。
しかし、製麺機の普及により製法の違いが曖昧になっていき、決定的な区別をつけるために「太さ」が規格として定められたようですね。
色付きそうめんといえば愛媛の「五色そうめん」
そうめんとひやむぎを区別するために使われていた色付きの麺。
この区別方法は製麺機が普及した明治~大正時代以降から行われていたようですが、それよりはるか昔から色付きのそうめんは存在していました。
愛媛県を代表するご当地グルメ 「五色そうめん」です。
このそうめんは今から300年も前の1722年、江戸時代に誕生しました。
誕生秘話はこのようなものです。
松山でそうめんの商いを営んでいた長門屋市兵衛の娘さんが、神社を参拝した際に五色の糸が下駄に絡みついた。
「これは神様のお告げに違いない」と思った娘さんは、父親に五色の色付きのそうめんを作ってみては?と発案。
試行錯誤の末、赤・黄・濃紺・緑・白のそうめんを作ることに成功した。
こうして誕生した五色そうめんは評判が良く、時の8代将軍吉宗や、朝廷にも献上され、絶賛されたそうですよ。
時を同じくして当時の江戸では、庶民が七夕にそうめんを食べる文化があったそうです。
中国の陰陽五行思想に習って、厄払いとして「青・赤・黄・白・黒」の五色のそうめんを食べるのが流行っていたとか。
もしかしたらこれは、愛媛の五色そうめんが江戸にもたらした流行なのかもしれませんね。
五色そうめんの着色料は何?
目に鮮やかな五色そうめんですが、何を使って色を付けているのでしょうか?誕生した当時は、白そうめんに
・赤・・ベニバナ
・黄・・クチナシ
・濃紺・・タカナ
・緑・・クチナシとタカナ
の四色を加えて作られていました。
現在は、白そうめんに
・赤・・梅肉
・黄・・鶏卵
・緑・・抹茶
・茶・・そば粉
の四色を加えて五色そうめんとして作られています。
人工着色料を一切使用していない自然素材なので、安心して口にすることができるんですよ。
喉ごし、食感、見た目にも美味しい五色そうめん。
贈り物にもぴったりですね。
そうめんの帯の色によって等級がわかる
ここからは、そうめんの帯の色について紹介したいと思います。
そうめんの高級ブランド「揖保乃糸」には、等級別に何種類もの帯があります。
代表的なものを4つ紹介しますね。
黒帯・揖保乃糸の特級
高級ブランド「揖保乃糸」のそうめんの中でも最高ランクに位置する 黒帯の特級。
上質な小麦粉を使用しており、さらに組合に選抜された熟練の製造者しか作れません。
麺の細さは0.65~0.7mmで、製造時期は12月~翌2月という限られた期間。
贈答品として選ばれることが多いようです。
この特級レベルの上を行く「三神」と呼ばれる幻のそうめんも存在するそうですよ。
一度は食べてみたいものです。
紫帯・揖保乃糸のよりつむぎ
国内産の小麦のみを使用し、小麦本来の風味を楽しめる 紫帯のよりつむぎ。
細さは0.7~0.8mmで、12月~翌3月まで製造されます。
コシがあってもちもちの食感が味わえます。
一般的なそうめんよりも細いので、茹で上がりの時間も短く、暑い夏場の調理に便利ですよ。
金帯・揖保乃糸の熟成麺
こちらは厚生労働省認定の国家資格、「手延製麺技能士」が作る 金帯の熟成麺。
細さ0.7~0.9mm、製造時期は12月~翌3月。
製造後1年間熟成し、コシの強さや舌触りの良さは絶品です。
赤帯・揖保乃糸の上級
「揖保乃糸」の生産量のおよそ85%を占めている 赤帯の上級。
とてもメジャーなそうめんで、スーパーなどで見かける袋入りの「揖保乃糸」はこちらの赤帯です。
細さは0.7~0.9mm。
製造時期は10月~翌4月と、他の等級のそうめんよりも長い期間作られています。
比較的リーズナブルで、しかも美味しいと定番の商品です。
そうめんの新と古(ひね)の意味は?
そうめんには、 「新」と 「古(ひね)」というものがあります。
「新」とは、できて1年以内のそうめんを指します。
「古(ひね)」とは、製造後1年寝かせたそうめんのことで、さらに2年以上寝かせたものは「大古(おおひね)」と呼ぶんですよ。
1年以上寝かせて梅雨時に発酵させると、小麦の成分に化学反応が起こり、コシが強く食感の良いそうめんに変わるそうです。
「新」には、小麦粉の風味や甘味を味わえる良さがあります。
「新」と「古(ひね)」、食べ比べてみるのも楽しそうですね。
そうめんの色付きのまとめ
→七夕にそうめんを食べる意味や由来は?子供に簡単に説明するなら?
→そうめんに虫がついても食べられる?対処法と賞味期限や保管方法は?
→流しそうめんを京都で楽しめる場所は?貴船や穴場スポットを紹介!
→流しそうめんを兵庫で楽しめるスポット!家族やデートにもおすすめ!
ここまで、色付きのそうめんや、帯の色で等級が分けられているそうめんについて紹介してきました。
知れば知るほど奥深いそうめん。
今年の夏はひやむぎとの食べ比べや、等級別のそうめんの食べ比べをしてみてはいかがでしょうか?
以上、「そうめんの色付きの意味は?帯の色で等級のランクがあるって本当?」について紹介しました。