光源氏のモデルは誰？候補とされる人物との類似点や理由、イケメン度から生涯も比較！

「源氏物語」は、華麗な平安貴族の生活が描かれた日本を代表する文学作品ですが、主人公の光源氏は実在の人物がモデルなのでしょうか。

数々の女性と浮名を流したプレイボーイ、光源氏のモデルが実在するとすれば、一体どんな人物だったのか気になるところですよね。

今回は、 光源氏のモデルについて、候補とされる人物のイケメン度や類似点、生涯など詳しくご紹介していきたいと思います。

光源氏のモデルは誰？

光り輝くようなイケメンで教養豊なプレイボーイとして描かれている光源氏ですが、実は モデルとされる人物は複数存在しているんです。

モデルの候補は、大まかにいうと以下の3つの系統があり、架空の人物である光源氏と境遇や人となりなど共通点があります。

モデル候補が複数いるのは、作者の紫式部が様々な実在の人物の特定の要素を光源氏に盛り込んだためというのが定説になっています。

「源氏物語」は当時の貴族社会でも非常に人気があった読みものでしたが モラル的にきわどい部分があるストーリーです。

モデルが明白なほど特定人物と酷似していては不都合なため、紫式部は主人公の光源氏にあえて様々な人物像を盛り込んだと考えられます。

光源氏のモデル候補1：源融(みなもとのとおる)

源融は、 光源氏のモデルの最有力候補とされる人物で、以下のような共通点があります。

類似点1：容姿

非常に恵まれた容姿をもった人物と伝わるイケメン。

類似点2：臣籍降下

親王として生まれたが母の身分が低かったため、皇位を継承することができず臣籍に下る。

類似点3：山荘

嵯峨野にある山荘の庭に阿弥陀堂を建てており、「源氏物語」中に出てくるロケーション(大覚寺の南)と一致する。

類似点4：邸宅

京都の六条に「河原の院」という広大な邸宅を築く。

類似点5：亡霊

六条河原の邸宅が融亡きあと荒廃し、鬼や亡霊が出るといわれたことが「夕顔」のストーリーの着想となったとの説がある。

💡ここがポイント！

源融は、「源氏物語」が書かれた時代より100年余り前に生きた人物で、母の身分が低く臣籍に下ったことをはじめ多くの共通点があります。

光源氏のモデル候補2：源高明(みなもとのたかあきら)

光源氏のモデルとしては、源高明も有力な候補に挙げられる人物の一人で、以下のような共通点があります。

類似点1：両親

父親の醍醐天皇は多くの妃があり、 母の周子の位が更衣だったことなど類似点が多い。

類似点2：臣籍降下

母親の身分が低かったため、源氏姓を賜り7歳のときに臣籍に降下する。

類似点3：秀才

小さいころから学問を好んだ秀才で、和歌においても優れた才能があった。

類似点4：左遷

聡明さを危険視され、藤原氏の謀略により 「安和の変」で大宰府に2年左遷される。

💡ここがポイント！

源高明は、イケメンプレイボーイではなかったようですが、優秀だった点や左遷されたことなど共通点がありモデル候補です。

光源氏のモデル候補3：源光(みなもとのひかる)

源光は、生涯や人となりなどは光源氏との共通点はそれほど多くありませんが、モデル候補の一人に数えられています。

類似点1：臣籍降下

母親の身分が低かったため、臣籍に下る。

類似点2：名前

光の源氏(ひかるのげんじ)とも称されたと伝わる。

💡ここがポイント！

源光と光源氏との共通点は何と言っても名前の類似性です。

しかし、菅原道真の左遷に加担し、祟りのために不慮の事故でこの世を去ったとされ、名前と出自以外、類似点はありません。

光源氏のモデル候補4：光孝天皇(こうこうてんのう)

光孝天皇は、臣籍に下らず天皇になっているものの、即位は55歳のときと遅く、光源氏のモデルの一人といわれる人物です。

類似点1：文化人

和歌や和琴の才能があり、 非常に聡明な人物であったとされる。

百人一首「君がため 春の野に出て　若菜摘む　我が衣手に　雪は降りつつ」の詠み人。

類似点2：文武両道

相撲を奨励や鷹狩の復活を実施し、弓や乗馬が得意な文武両道の人物とされる。

💡ここがポイント！

光孝天皇の容姿については、「日本三大実録」に「閑雅」と記載があり、華はなくとも地味系のイケメンだったのかもしれませんね。

光源氏のモデル候補5：藤原道長(ふじわらのみちなが)

紫式部が仕えた彰子の父親である藤原道長は、 紫式部のパトロンであったといわれ、光源氏のモデル候補の一人でもあります。

類似点1：栄華

後一条・後朱雀・後冷泉の三天皇の外祖父として摂政となり栄華を極める。

類似点2：孫が天皇(皇太子)

「源氏物語」の「若菜」の帖で明石女御(光源氏と明石の君の娘)が東宮の皇子(のちに皇太子に)を出産するシーンの類似性がある。

紫の上が若宮におしっこを掛けられたと光源氏が言及するシーンは、 道長が敦成親王(のちの御一条天皇)におしっこをかけられ喜んだエピソードと酷似。

💡ここがポイント！

藤原道長はリアルタイムで「源氏物語」を読んでおり、紫式部に激励の文や様々なプレゼントを送ったことでも知られています。

紫式部は、道長が目を通すことを前提に、実際のエピソードを物語中に盛り込んだものと考えられますね。

光源氏のモデル候補6：藤原伊周(ふじわらのこれちか)

藤原伊周は、 道長の甥であり、中宮定子の兄にあたる人物で、光源氏のモデルの候補者の一人といわれています。

類似点1：才気あふれるイケメン

漢学や和歌に通じ、才気あふれるイケメンとして若いころからエリート街道を進む。

類似点2：左遷

父と妹を失ったあと、 道長との権力闘争に敗れて失脚し左遷される。

💡ここがポイント！

藤原伊周は、非常に容姿端麗であったとの記載が「枕草子」や「栄花物語」にあることから、光源氏のモデルの一人とされています。

しかし、父である藤原道隆を亡くしたあとは、失脚して失意のうちに生涯を閉じています。

光源氏のモデル候補7：藤原実方(ふじわらのさねかた)

藤原実方は、清少納言の恋人だったともいわれる人物で、風流なプレイボーイだったことから光源氏のモデルの一人といわれています。

類似点1：風流なイケメンプレイボーイ

百人一首に歌が収録されるほどの歌の才能があり清少納言の他にも20人以上もの女性と浮名を流したプレイボーイ。

類似点2：左遷

一条天皇の前で藤原行成と口論になって天皇の怒りを買い、 陸奥に左遷される。

💡ここがポイント！

藤原実方は、出自的には光源氏との共通点はありませんが、イケメンプレイボーイだったことがモデルといわれる最大の要因ですね。

光源氏のモデル候補8：在原業平(ありわらのなりひら)

平安時代きってのプレイボーイとして知られる在原業平もまた光源氏のモデルの一人といわれています。

類似点1：臣籍降下

両親ともに皇族という高貴な血筋に生まれたものの、皇統ではなかったため生まれてすぐ兄らと共に臣籍に下る。

類似点2：イケメンプレイボーイ

平安時代を代表するイケメンで数々の女性と浮名を流す一方、鷹狩の名手であり、優れた和歌の才能もあわせ持っていた。

💡ここがポイント！

在原業平は両親の出自が光源氏とは異なりますが、ハンサムなプレイボーイという大きな共通点がありますね。

光源氏をより理解するのにおすすめの本は？

「あさきゆめみし」　大和和紀著

「源氏物語」をかなり忠実に描いた漫画として知られる 「あさきゆめみし」は、楽しく源氏の世界に触れるにはもってこいの作品です。

全五十四帖を7巻にまとめた文庫版のセットは、源氏好きの方の愛蔵版に最適ですよ。

「新源氏物語」　田辺聖子著

「新源氏物語」は、単なる現代語訳ではなく小説として楽しめるおすすめの名作です。

王朝文学のみやびな雰囲気はそのままに、古典初心者にもわかりやすい内容でつづられた田辺版の源氏物語は、 源氏の入門書にもぴったりですよ。

光源氏には様々なモデルが存在した！

という事で、光源氏のモデルについて、候補者と光源氏の共通点や生涯を比較しつつご紹介しましたがいかがでしたか。

日本の古典の中でも時代を超えた人気を誇る「源氏物語」なので、ぜひ源氏の世界をより深く楽しむヒントにしてくださいね。

以上、「光源氏のモデルは誰？候補とされる人物との類似点や理由、イケメン度から生涯も比較！」の記事を紹介しました。