家の軒下に巣を作って子育てするツバメですが、 ヒナが巣立ちをする時期は一体いつ頃なのかは多くの人が気になるところではないでしょうか。
また、ツバメのヒナが巣立った後の巣は片づけて良いのか、翌年、元の場所に戻ってくるのかなど色々な疑問もありますよね。
そこで今回は ツバメの巣立ちの時期や、ヒナが巣立った後の巣の扱い、翌年もツバメが元の巣に戻ってくるのかなど、まとめてご紹介していきたいと思います。
目次
ツバメの巣立ちの時期はいつ?
ツバメの巣立ちの時期は4~9月頃で6月がピーク!
ツバメは、台湾やマレー半島、フィリピンなど暖かい地域で冬を越し、春先になると日本にわたってくる鳥です。
日本に渡ってきたツバメは、つがいになって巣作りをし、繁殖しますが、 ヒナが大きくなり巣立ちを迎える時期は4月~9月になります。
ところで、ツバメの巣作りから巣立ちまでにかかる時間は、平均すると約6週間が目安。
日本にツバメが渡ってきて巣作りを始めるのは、3月の終わり頃からで、 順調にいけば、4月中に巣立ちの時期のスタートです。
ツバメのヒナの巣立ちは、 例年6月頃にピークを迎えますが、時期的にかなり大きな幅があり、遅い巣では9月頃になることもあります。
ツバメの巣立ちは地方によって時期が異なる!
ツバメの巣立ちの時期は、先に触れた通り4月~9月頃ですが、なぜこんな時期的に幅があるのか不思議に思う方もいらっしゃるのでは?
実は、ツバメの巣立ちの時期に幅が出る原因の一つは、 日本の気候の多様性にあります。
南北に長い日本列島は、地方により気候に大きな差があるため、ツバメの繁殖時期にもかなりの幅が出ることになるんです。
ツバメは、エサとなる小さな虫が冬眠中だと子育てができないため、暖かくなるのを待って巣作りを始めるので、地域的な差が出るわけですね。
以下が、日本の各地域のツバメの飛来~巣立ちの時期の大体の目安となります。
●九州地方
温暖な九州地方は日本列島の中でも特に早い時期にツバメが観測される地域。
早い所では2月中にツバメが飛来し、巣作りから子育てが 順調なら4月中に巣立ちの時期を迎える巣もあります。
●四国・瀬戸内海沿岸地方
四国や瀬戸内海沿岸の冬が比較的温暖な地域では、例年、3月上旬が最初のツバメが目撃される時期です。
その後、巣作りから子育てが無事に終われば、 5月初旬のGW頃からが巣立ちの時期になる巣もあります。
●近畿・東海・南関東地方
近畿、東海から南関東は、3月中旬から下旬にかけて、例年ツバメの飛来がみられ、 早ければ5月中には巣立ちを迎える巣もあります。
3月中旬から下旬は日本列島各地にツバメが渡ってくるピークで、巣作りに相応しい場所を物色するツバメを家の近くでよく見かける時期ですよ。
●北陸・東北地方
日本の中でも比較的寒冷な地域に属する北陸・東北地方は、4月に入ってからがツバメの飛来時期です。
北陸や東北地方では、ツバメの渡りの時期が遅い分、巣立ちも遅くなり、 6月頃からが巣立ちの時期になります。
●北海道地方
北海道へのツバメの飛来時期は、4月中旬以降で、 巣立ちが観測される時期も6月以降になります。
ツバメの巣作りから巣立ちまでの時期の主な流れは?
ツバメの巣作りの時期:約1週間
ツバメは、メスとオスがつがいになって巣作りから子育てを協力して行います。
巣作りにかかる時間は平均して1週間ですが、既にある巣を修理して再利用する場合は3日程で完成する場合も。
逆に、一から作る場合や途中で巣が壊れるなどのアクシデントがあると、半月から1カ月近くかかることもあります。
ツバメの巣作り完了~ヒナの孵化までの時期:約2週間
巣作りが終わると、ツバメのメスは巣に卵を産み、孵化まで基本的にメスが卵を温めます。
卵が孵化するまで約2週間ですが、この時期、オスはただ遊んでいるわけではなく、巣の近くに敵が来ないかしっかり見張りをしています。
また、メスがエサや水を補給しに行くときは、交代して卵を温めることもあり、とても協力的なイクメンぶりなんです。
ツバメのヒナの孵化~巣立ちまでの時期:約20日
巣作りから、おおよそ3週間、順調にいけば、いよいよツバメのヒナたちが生まれます。
生まれたヒナは親からの餌を待って、ピイピイ大きな口を開けて鳴き、可愛くほほえましいシーンが見られる時期ですね。
親ツバメたちに餌をもらい、すくすく成長したヒナたちは、 20日程たつと巣立ちの時期を迎えます。
ツバメは年に2回繁殖することもある!
春先に巣作りをスタートさせたツバメは、地域差もありますが、 大体6月頃にヒナたちの巣立ちのピークを迎えます。
巣立ちの後も若いツバメたちが独り立ちするまで、親ツバメは子供たちの世話をしますが、それも終われば繁殖は一段落。
そのため、ツバメの巣立ちは7月に入ると、一時的にですが少なくなるのが通常のパターンです。
ですが、その後、全てではありませんが、 2度目の繁殖を行うツバメも相当数存在しています。
2度目の繁殖では、ツバメは7月上旬ごろから巣作りをはじめ、巣立ちはお盆前後の時期というのが大体の目安になりますね。
また、通常、ツバメの繁殖は、年に1~2回ですが、早くツバメが渡ってくる暖かい地方では、まれに3度目の繁殖がおこなわれることも。
ということで、1度目の巣立ちの時期が終わっても、2度目の繁殖をすることが、巣立ちの時期の幅が大きくなる理由になっています。
巣立ち直後の時期のツバメはどこに行く?
巣立ち後10日間位は親と一緒に行動!
巣立ちした後の若いツバメたちは、一体どこに行くのかと、疑問に思う方多いでしょうが、この時期、 子ツバメたちはまだ巣の近くにいます。
というのも、子ツバメたちは巣立つまでずっと親鳥から餌をもらっていたため、巣立ち直後の時期は、まだ自分で餌をとる事ができないからなんです。
なので、巣立ち直後の10日間位は、近くの電線などに集まって止まり、親ツバメから餌をもらって過ごします。
この時期に、子ツバメたちは、自分で餌をとることを覚え、親ツバメの助けなしに生活していくすべを徐々に身に着けていくわけですね。
エサが採れるようになれば若いツバメ同士集団生活!
巣立ちの後、子ツバメたちが餌を自分で取ることができるようになれば、巣立ったばかりの子ツバメたちは、 集団生活をスタートさせる時期です。
因みに、この時期は完全な親離れではなく、集団の中には大人のツバメがいて、まだ上手にエサが見つけられない子ツバメをサポートしています。
子ツバメたちが完全に親ツバメから自立する時期は、夏の終わりごろ。
この時期になると子育ても全て終わった親ツバメたちも、 河原で集団のねぐらを作って生活するようになります。
ツバメたちは、秋になると南の暖かい地域へと旅立つため、長旅に備えて沢山エサを食べ、エネルギーを蓄えるわけですね。
翌年も時期になればツバメは戻ってくるの?
親ツバメは翌年も帰ってくることが多い!
ツバメのヒナが巣立っていった後には巣だけが残されますが、次の年になると再びツバメがやってくることも珍しくありません。
ですが、このツバメは、一年前に来たツバメと同じ個体なのでしょうか?
ツバメに足環をつけて調査した結果、 生きている限り親ツバメは次の年もほとんど同じところに戻ってくるということがわかっています。
ツバメは、巣をつくる地域を一度決めると、生涯その場所を変えることはありません。
ある商店街で調査をした結果、商店街に戻ってきたツバメは4割程度で、その中でも全く同じ巣に戻ってきた割合は4割にも上ったそうです。
また、他のツバメも、同じ商店街には戻らなくても、その近くまでは戻ってきたと見られています。
子ツバメは親と違う地域で巣を作る事が多い!
親ツバメはかなりの確率で毎年、同じ地域に戻ってくる訳ですが、前の年に巣立ちした子ツバメたちは事情が多少異なります。
若いツバメたちは繁殖できない1歳の時期は、同じ地域に戻ることがありますが、 ほとんどのヒナは親と同じ地域には巣をつくらない習性があるんです。
これは、親と同じ地域に子供が戻りそこで繁殖すると、血のつながりのある個体とつがいになる可能性が出てくるためです。
そうなると、弱いヒナが生まれる可能性が高くなるため、巣立ちの翌年以降、子ツバメたちの多くは親とは違う地域で繁殖することになります。
より優秀な子孫を残すため、ツバメたちにインプットされている習性には本当に感心させられますね。
巣立ちが終わった時期のツバメの巣は壊すべき?
巣立ち後のツバメの巣は可能なら残す!
ツバメのヒナの巣立ちが終わった後は、空の巣が残されるわけですが、 壊すべきか残すべきか迷うところですよね。
結論から言うと、ツバメのためを思うならそのままにしてあげるのが最良です。
というのも、ツバメは巣が残っていれば翌年以降、同じ巣を修理して再び使うことが多く、一から巣をつくる手間が省けるからなんです。
巣が作られている場所にもよりますが、もし可能であれば、翌年のために巣はそのまま残しておいてあげるといいでしょう。
取り壊す場合も秋まで残すのがおすすめ!
できれば残しておきたい巣立ちの後の巣ですが、景観的な問題や寄生虫が繁殖する心配などから、壊してしまう方が良いという意見もあります。
ですが、先に触れた通り、 ツバメは年に2回子育てをすることがあり、巣を残しておけば再利用が可能です。
また、ツバメのヒナたちは巣立ちが終わった後でも、たまに、巣に戻ってくることもあるため、 秋になりツバメが旅立つまでは壊さない方が無難ですね。
ツバメを巣を立ちの時期まで見守り次の訪れを待とう
という事で、ツバメの巣立ちの時期や巣立ち後の巣の扱いなど、まとめてご案内いたしました。
可愛かったツバメたちが旅立つのはとても寂しいですが、また来年も帰ってきてくれることを願って待ちましょう。
以上、「ツバメの巣立ちの時期はいつ?来年も戻ってくる可能性は?」についてご紹介しました。